現代では人々の生活スタイルが夜型化し、とくに都市部では深夜も活動する人が珍しくなくなりました。テレビは当然のように24時間放送していますし、コンビニェンスストアを中心に24時間営業の小売店も増えました。私たちの睡眠時間は減少する傾向が続いています。
こうした社会変化と並行して、近年、不眠や睡眠障害に悩む人は増加傾向にあり、5人に1人は、睡眠の問題で悩んでいるといわれるほどです。
これは、個人的な悩みにとどまらず、さまざまな面に波及する社会問題でもあります。生活リズムかすれてしまい、起床時間に起きられないために不登校になっている子どもも少なくないといいます。また、睡眠障害や慢性的な睡眠不足によって生じる昼間のねむけ
は、大型トレーラー事故や遠距離バス事故など、悲惨な事故も引き起こしています。
アメリカでは、ねむけによる事故により、1年で2000人の人命が失われ、250万人が重症を負い、5兆円以上の社会的損失が出ているといわれます。こうした事故の多発を憂慮し、州ごとに睡眠障害センターが設置され、専門医が診療に当たっているほか、行政も積極的に事故原因を追究し、再発防止に取り組んでいます。
日本でも、平成16年の厚生労働白書では、主に長時間労働に起因する睡眠不足の健康への影響について、「睡眠時間が6時間未満では狭心症や心筋梗塞の有病率が上昇、5時間以下では脳・心臓疾患の発症率が上昇、4時間以下では冠動脈性心疾患による死亡率が、睡眠時間7時間以上8時間未満の者の約2倍となる」と指摘されています。さらに「睡眠時間1日4~6時間以下の睡眠不足状態が長期間にわたると脳・心臓疾患の有病率や死亡率が高まる、という報告もある」と紹介して、強く注意を促しています。
たかが睡眠、されど睡眠。十分な眠りが得られないことによる健康被害やQOLの低下による損失は甚大です。
「よい眠り」は、個人にとっても社会にとっても、今後、さらに重要な問題になっていくのではないでしょうか。