なぜ「つめの生えぎわの両角を反対側の親指と人さし指ではさんでよく押しもむ」という簡単きわまりない方法で、自律神経失調症が改善するのでしょうか。私は、その理由を免疫カアップ、血流改善、自律神経調整の3つの効果だと考えています。まず、免疫力ですが、免疫の主役は、血液の中の白血球、なかでもリンパ球です。私は以前、患者さんにつめもみを実行してもらい、実際に白血球が増えることを確認しました。その結果、免疫力が改善し、体調や自律神経失調症の症状も改善していたのです。
次に血流の改善ですが、指先というのは心臓から見ると体の末端にあたり、毛細血管が密集している部分です。この部分は心臓から新鮮な血液を送り出す動脈と、老廃物をのせて戻る静脈とをつなぐ、重要な部分でもあります。先に行けば行くほど血管は細くなり、それだけ血流は悪くなりがちです。もともと女性の血管は細い傾向があり、指先が冷たい人は、血行が悪く、その結果としてさまざまな不快症状が出ていることが多いのです。そうした人は指先、とくにつめの生えぎわを刺激すると血流の改善に効果があります。
自律神経とは、自分の意思とは無関係に内臓や血管の働きを支配する神経のことです。主に昼間に働き、体を活動的にする交感神経と、体を休ませる副交感神経の2種類があります。本来、これらの働きはバランスよく調整されています。しかし、ストレスや運動不足、ファストフードの食べすぎ、夜型生活などによって、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になり続けすぎると、血管が収縮して全身の血流が悪化します。その結果、不眠、冷え性や肥満、便秘、腰痛、肌荒れといった悩みを招いてしまうのです。
逆に、自律神経のバランスを整え、副交感神経の働きを優位にすれば、血管が拡張して血流がよくなり、こうした不快症状も解消できることになります。
はいているスカートが回ってしまう、鏡を見ると左右の肩の高さが違うという人は、骨盤の歪みを疑うべきかもしれません。私たちの生活習慣や動作のクセが積み重なると筋肉の動きにもクセがつき、それが骨を引っぱって歪みを生じさせます。骨が歪むと筋肉も本来のやわらかさを失い、かたくなり、血液の流れも悪くなって、老廃物がたまりやすくなります。その結果、疲れやすくなり、冷えなどの不快症状が起こってくるのです。
筋肉がかたくなると睡眠の質にも影響を及ぼします。私たちの体は、リラックスしているときはやわらかですが、緊張する事態にぶつかると、カチカチにかたくなります。つまり、筋肉がかたいということは、精神的にリラックスができず、緊張した状態が続いているということ。そんな体だと夜寝ているときも脱力できず、リラックスできませんから、実際は半分起きているようなものです。
私たちの体は骨と筋肉で支えられています。それらをつないでいるのが腱という部分です。指圧などで腱に刺激を与えると、その刺激はいったん脊髄に送られ、脊髄から脳を経由して、体の各部分に転送されて、不快症状などを改善していきます。
手首は、多くの腱が集まっている大切なところです。「手首を刺激するだけで全身の症状がよくなるの?」と疑問を抱く人もいるでしょうが、手首の研究を進めてきて、非常に興味深いことが判明しました。手首には体全体と連動するゾーンがある、ということです。
足の裏には非常にたくさんの血管が集まり、一つ一つの血管に自律神経がまとわりついています。足の裏に刺激を加えると、その刺激は自律神経を通して脊髄に伝わり、脳へ届いて、その信号を受けた脳が、停滞した状態にある体の機能を活性化させるのです。このように特定の場所に刺激を与えることによって、体の機能が活性化する仕組みを「反射」といいます。刺激を与える足の裏の部位(ゾーン)によって、活性化する機能は違います。
治療を重ねるうちに、私は、各国共通の反射区と、実際の患者さんの反応には微妙なずれがあることに気づきました。そこで脳波やサーモグラフィーなどを使って臨床データを集めた結果、日本人の生活スタイルやデリケートな足の裏に合った刺激法と反射区を独自に考案するに至ったのが、この「足の裏湿布法」です。不眠の改善や解消には、自律神経やホルモンの中枢をつかさどる脳の下垂体の反射ゾーンにあたる足の親指の腹を刺激します。ここに湿布をはることで持続的に刺激が伝わり、自律神経やホルモンの働きが自然に調整されるわけです。また、親指のつけ根は頚部ゾーンで、肩こりゃ首のこりをほぐし、緊張感をやわらげて眠りに誘うゾーンなので、寝る前に足の親指と頚部ゾーンをもんでお
くだけでも効果が得られます。
日本では"カンフー”といえばカンフー映画という印象が強いようですが、中国では「功夫」として、その華麗な動きと幼少からの厳しい訓練で知られています。中国武術のひとつですが、本来の目的は相手を打ち負かすことではなく、苦しい思いをして体を鍛えるのは精神力を培うため。体の訓練以上に精神力が求められ、鍛えられるのです。
カンフーは大地や空気と対話するように体を動かすので、自然に対する五感も鋭くなり、感受性も豊かになります。自分の体のすみずみまで意識が行き届くようになるため、病気や体調不良にもすぐ気がつくことができ、大事に至らずにすみます。長年の冷え性で、つま先や指先が冷たくて寝つけなかったという人が、寝る前数分のカンフーヨガで体がポカポカと温まり、自然とリラックスできてぐっすり眠れるようになったという例もあります。